東京ベイアプレイザル株式会社|不動産鑑定が あなたの未来を守ります

空家コンサル事例等

空家の現状について

M&Aグラフ

 

【日本全国における空家の現状】

 

総務省が5年おきに実施している「住宅・土地統計調査2013年(平成25年)」によると、日本国内における全空家数は820万戸にも及ぶとのことです。空家率は13.5%にもなります。

 

ただし、グラフに示す空家は3種類に分類されています。

・緑色「二次的住宅」・・・別荘等たまに利用しているセカンドハウス的なもの

・青色「賃貸用又は売却用の住宅」・・・賃貸物件の空室戸、販売活動中の売り物件

・ピンク色「その他の住宅」・・・長期不在・取り壊し予定の空家

 

一般的に空家と称されるのはピンク色の「その他住宅」が該当すると考えられ、総戸数は約320万戸となっています。

M&Aグラフ

 

この「その他空家」約320万戸のうち、耐震性があり、腐朽破損のない、駅距離1㎞以内の物件、つまり、簡単な手入れにより活用可能なその他空家は全国に約48万戸あるということです。

 

上記は日本全国の空家についてですが、次に東京都の状況についてクローズアップしたいと思います。

 

 

 

 

 

M&Aグラフ

 

【東京都における空家の現状】

 

平成25年において住宅ストック数(約735万戸)は、総世帯数(約650万世帯)に対し、1.13倍となっています。

 

平成25年時点での空き家は約82万戸であり、空き家率は平成10年からほぼ横ばいで、平成25年では11.1%という状況です。

 

長期不在・取り壊し予定の空家は平成20年と比較して減少しているものの、約15万戸存在し、この15万戸のうち11万戸については腐朽破損なしの状態で、活用可能な物件と判断されます。

 

空き家数は、大田区(6.2万戸)が最も多く、世田谷区(5.3万戸)、江戸川区(3.8万戸)と続いており、空き家率は、豊島区(15.8%)が最も高く、大田区(14.8%)、武蔵野市(14.1%)と続いています。 

空家対策について

行政も、空家が増えている現状を憂慮して、様々な策を講じています。
主だったものとして、「空き家対策特別措置法の施行」「譲渡所得の3,000万円の特別控除の特例の適用」があげられます。概要を確認してみてください。

 

【空き家対策特別措置法】

 

平成27年2月に「空き家対策特別措置法」が施行されています。

市町村はまず最初に空き家の所在と所有者の把握を行う必要があるので、そのために必要な調査や情報の提供を求めることができる旨の規定となっています。

次に、市町村が対策が必要な空き家を選別し、所有者に適切な管理を促進するため、情報の提供や助言その他必要な援助を行います。
そして、特に対策が必要な「特定空家等」とされると措置が講じられます。

 

 

措置①

著しく保安上の危険となるおそれがある空き家、著しく衛生上有害となるおそれがある空き家を対象に、強制対処の規定が設けられています。

強制対処までには段階があり、助言・指導を行っても改善がない場合に勧告がされ、勧告でも改善されなければ命令、命令しても改善がなければ強制対処という流れになります。

措置②

また、勧告された時点で固定資産税の小規模宅地土地に対する固定資産税の特例の対象外となり、土地の固定資産税は増額となります(最大で4.2倍)。

 

譲渡所得の3,000万円の特別控除の特例の適用

 

平成28年4月から、相続した空き家を売却した場合にも、一定の条件を備えれば、譲渡所得の「3,000万円の特別控除の特例」が適用されるようになりました。 

一定の条件については、詳細が規定されていますが、要約すると、相続によって所有することになった旧耐震基準の家屋を、耐震改修して売却するか、解体して更地として売却する場合には、譲渡所得の3,000万円の特別控除の特例を適用とするという内容です。

空家コンサル事例

相続等で空家を所有することになった方、どうしてよいか判断つかず、そのまま放置をしていらっしゃる場合も多いと思います。

誰にどう相談してよいか迷っていらっしゃるようでしたら、不動産鑑定士にご相談をいただければと思います。

売却、賃貸、リフォーム等、ご相談者のご意向を優先させつつも、将来的にご負担が多いと思う場合等は率直にお話させていただきます。

 

解決事案① 空家を解体撤去し売却した事例

【物件所在地】  千葉県千葉市

【物件】     土地 330㎡(登記数量)

   建物 敷地の隅に延床120㎡・築50年木造2階建アパート

【ご所有者】   東京都23区在住70代女性

 

【ご所有者のお気持ち】

  売却をしたいが進め方がわからない。

  適正な価格で売却したい。 

【ご相談時状況】

・雑草、虫等の除去等、隣地に住む親戚に管理を任せていたが、親戚に迷惑をかけていることを気に病んでいる。

・固定資産税と、管理費用を支払い続けている。

・敷地隅に所在するアパートには賃借人は既にいないものの、かつて母屋のお手伝いとして雇われていた老夫婦が無償で住んでいる。

・対象地付近の不動産業者から買い取り申し出の電話やダイレクトメールが頻繁に届く。 

・電話をかけてきた不動産業者の買取額は2,500万円程度。ご所有者は判断つかず放置。

【解決までの流れ】

 

【不動産調査・マーケット分析・適正価格査定】

対象不動産について、道路条件、行政法規一式を調査します。地域は戸建て住宅街ですので、戸建分譲業者に向けての売却が妥当と判断されました。その際に見込める売却価格は3,800万円~4,000万円程度と査定。

ただし、敷地隅のアパートの住人の退去、取り壊しをした後の数値です。

住人の方にはご所有者が直接連絡を取り、退去を承諾してもらいました。無償での使用貸借ではありましたが、引っ越し費用等として100万円ほどお支払いをしたと伺っています。

 

【不動産購入者を探す】

・提携の不動産仲介業者に売却を依頼をしたところ、購入希望の戸建分譲業者が数社みつかりました。一番高い4000万円の提示があった戸建分譲業者に売却を決定しました。

・境界確定測量の作業と、購入者を見つける作業を並行して進めていましたので、登記簿謄本での数量で買取価格を検討していただき、実測数量が確定したら、価格を修正させていただく約束での売買契約となりました。結局、実測数量は約345㎡あり、約4,200万円で売却できました。

・建物解体費用250万円程度の見積もりでしたが、購入者の分譲業者に相談したところ、解体もしていただけることとなりました、解体費用は売主負担の約束でしたが、提携の解体業者とのことで150万円程度の負担ですみました。

 

【解決対応後】

・除草、害虫駆除等の費用、固定資産税の支払いがなくなり、隣地の親族への気兼ねもなくなりました。不動産の売却価格も電話で購入申し出をしてきた不動産業者の提示する2,500万円を1,700万円も上回りました。

 

【関係専門家及びその役割】

不動産鑑定士の役割・・・適正な価格を見極めます。マーケットを分析し、一番高く買ってくれる購入者属性を考えます。お客様のお話を直接伺い、問題解決にどういったプロセス、専門家が必要か判断します。また、他の専門家にお客様の状況、ご希望に基づいて協力を仰ぎます。

 

不動産仲介業者・・・鑑定士の査定した数値、マーケット状況等について伝え、適正な価格を提示してくださる購入者を探してもらいます。実測数量での売買契約の補正、解体費用の減額等臨機応変な対応でお客様の利益を増やすよう働きました。 

 

土地家屋調査士・・・調査の内容について依頼者のみならず、購入者へも詳細に説明してもらいました。購入者にもご納得いただいて後々のトラブルが生じないような仕事ができるよう努めています。

  

解決事案② 空家を賃貸物件にして所有を継続した事例

【物件所在地】  東京都23区内

【物件】     土地 36㎡(登記数量)

   建物 延床110㎡・築50年鉄骨造4階建事務所併用住宅

【ご所有者】   埼玉県在住60代女性

 

【ご所有者のお気持ち】

 かつて家業を営んでいた思い出のある土地建物。できれば所有を継続したい。

 売却したほうがいいのか、賃貸して所有継続できるものか、判断できない。

【ご相談時状況】

・対象物件を相続なさってから2年が経過。12階はかつての家業の事務所となっている。34階は居宅仕様である。

・固定資産税と、管理費用を支払い続けている。

・近隣の不動産業者に売却価格を確認したところ、土地は1500万円程度、建物は価値がない、むしろ取り壊し費用に200万円~300万円かかるとの意見。

【解決までの流れ】

 

【不動産調査・マーケット分析・適正価格査定】

 対象不動産について、道路条件、行政法規一式を調査します。地域は事業所、マンション等が建ち並ぶ住工混在地域で、相続税路線価の1.5倍程度の水準の取引がなされていました。規模の小さな土地ですが、市場価値1800万円程度と査定されます。建物は古いのですが、内装、外装ともに適宜リフォームを行っており、築年は古いですが比較的管理状況は良好です。

できれば所有を継続したいというご意向ですので、賃貸を検討しました。若干リフォームを加えて、1棟貸しすると概ね17万円程度という査定でした。

 

【不動産仲介業者・リフォーム業者と相談】

所在エリアに詳しい不動産仲介業者に相談したところ、1階事務所、2階事務所はそれぞれ十分需要があるとのことでした。3、4階はメゾネット型住居として貸すというのが効率的ではないかと意見をもらいました。早々に、借りたいと言ってくれた方を見つけてくれたので、要望に併せてリフォームに200万円程度かけました。結局、180,000円、270,000円、3-470,000円、合計22万円で賃貸借契約となりました。賃貸借契約の内容、特に修繕費の負担区分、清掃の範囲等詳細に約定してもらいました。

リフォームも丁寧で信頼できる業者にお願いしましたので、賃借人の意向を現場で直接確認のうえ、作業をしてもらいました。

 また、賃借人の募集とともに、賃料の収納事務、賃借人からのクレーム、修繕必要時の対応等まとめて管理業務委託契約を結びました。

 

【解決対応後】

・月額22万円の賃料収入が入るようになり、月額約1万円程度の管理業務委託費、固定資産税(月あたりに換算)7,000円程度が固定費用としてかかるという状況です。その他、適宜修繕費用がかかることも忘れてはなりませんが、差し引き月額約20万円の収入が得られるようになりました。この解決対応後、2年が経過しましたが、満室稼働が継続しています。当初投じたリフォーム費用は1年で回収済みです。

・ご所有者は、定期的に物件を見にいかなくてはと気にかかり、居住地と離れているために苦痛に感じていたとのことですが、管理業務委託契約によって不動産業者が定期的に不動産の状況も把握してくれているので気持ちが楽になったとのこと。

  

【関係専門家及びその役割】

不動産鑑定士の役割・・・売却した場合の金額、賃貸した場合の賃料をそれぞれ査定します。所有していたご意向の場合、賃貸市場があるかどうか、賃料水準がどのくらい期待できるか、賃料水準如何でリフォームにかけていい費用の上限も見えてきますので、査定数値に基づいた検討をお手伝いします。

 

不動産仲介業者・・・適正な賃借人を探してもらいます。トラブルがないように、契約内容には物件の特性に応じた条文を検討します。管理業務委託契約もあわせてお願いしました。

 

リフォーム業者・・・賃借人の意向を直接聞いて施工してもらいました。また、賃借人からの修繕要望等あった場合の対応も不動産業者と連携して継続的にお願いしています。