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不動産購入時の契約書等を紛失すると大変です

 確定申告の時期が近づくと、売却した不動産の取得費が不明であるということで、税理士先生よりご相談をいただきます。

 

 譲渡所得の計算式は、収入金額−(取得費+譲渡費用)で、取得費がわかっていれば問題ないのですが、不明である場合は収入金額の5%を取得費とすることとなっています。

 つまり、収入金額の約95%が売却益とみなされてしまいます。

 

 そこで、取得費を推定する方法として、市街地価格指数を利用します。

 日本不動産研究所が毎年3月、9月時点の当該指数を公表していますので、売却年の指数と、取得年の指数から、取得費を推定するわけです。

 ただ、この指数は都内、六大都市圏というようにかなり広い範囲の地価指数であり、対象不動産と類似する地価公示、相続税路線価等の地価が類似の推移をたどっているか、その確からしさを確認しなくてはなりません。

 

 下記のグラフは、市街地価格指数、地価公示価格各々について、売却時100と換算した場合の指数変動率推移です。

 これは、23区内の住宅地にある土地について調査したものですが、売却時2021年と比較して1979年は60前後の水準にあることがわかります。取得時期が1990年であれば取得費は収入金額を上回っていたものと推測されるので、譲渡所得はゼロとなります。

 5%しか取得費にできないというのは納税者にとって相当に不利な状況です(5%以下の取得費である場合も昭和30年代以前の取得であればありますが。)ので、取得時の契約書等は大切に保管しておいてください。

 

 また、取得時に宅地であったか、取得費が推定できる担保等の情報がないかなどの確認も重要です。

 

 税理士先生からご相談いただくケースが多く、調査した内容をレポートさせていただいて、市街地価格指数を採用するか否かの検討材料にしていただいています。