8月19日日経新聞に、<老朽化マンション「玉突き」で建て替え>という記事がありました。
東京都の実施した調査によると、都内の分譲マンションは約5万3000棟あり、そのうちの約1万2000棟が旧耐震基準であるとのことです(マンション実態調査2011年)。
旧耐震基準とは、建築基準法の改正により1981年6月に施行された現在の耐震基準より以前の基準で、当該基準で建築された建物は、震度6強や7レベルの地震により倒壊するリスクがあるとされています。
耐震性に問題のある旧基準で建設されたマンションの建て替えを促進するために、2002年「マンション建替え円滑法」が施行され、2017年にはより大幅な容積率緩和の規定等を盛り込んだ改正が行われました。
さらに東京都は老朽化マンションの建て替えを促す制度を2019年度にも創設するとのこと。
その内容は、「不動産会社が老朽マンションを買い取れば、別の場所に建てるマンションの容積率を上乗せする。買い取った物件の跡地にマンションを建設する場合にも別の老朽物件を物件を買えば容積率を積み増す。」と、「玉突き」のような仕組みとなっているようです。
買い取った老朽マンションの建っていた土地の容積率が積み増されるのではなく、違う土地上に計画されるマンションの容積率を積み増すというユニークな制度で、容積率アップを目的に、マンション建て替えの連鎖をおこすということかと思います。
老朽化したマンションの建て替えが進まないのは、主に「余剰容積のある物件が少ない」「住人の仮住まいの確保が難しい」などの問題を抱えているためのようです。
既存建物より規模の大きな建物が建築できれば、増えた住戸分を分譲して、事業費用をまかなえますが、容積率を概ね消化している建物は、余剰の住戸の分譲によって費用を捻出できないのです。また、仮住まい物件を確保することが困難であるということ以前に、仮住まいという状況に躊躇する方も多いでしょう。
新制度はこうした問題の解決に一翼を担うものと思います。
※参考までに、東京都が今まで「マンション建替え円滑法」により建て替えを行った物件一覧。